最近立て続けに家庭裁判所に対する相続放棄申述受理申立の依頼を受け、この事件処理において少し注意しなければいけないと思ったことがありました。

被相続人に配偶者や子供(第1順位相続人)、親(直系尊属・第2順位相続人)、兄弟姉妹(第3順位相続人)がおり、順次相続放棄を行い、最後に第3順位の相続人が相続放棄をする場合です。

この場合、第2順位相続人である被相続人の両親が相続放棄したからといって、第3順位相続人に相続放棄の前提となる相続権が発生することが直ちに裁判所に明らかになるわけではありません。
第2順位相続人である被相続人の両親が相続放棄した場合、法律上はそのまた両親(被相続人からみれば祖父母)に相続権が発生することになるため、実際には亡くなっていたとしても祖父母が生存の可能性のある年齢であれば、戸籍上その死亡が確認されなければ、第3順位相続人に相続権が発生することが裁判所には明らかになりません。この場合、祖父母の死亡の記載のある戸籍を提出しなければ、第3順位相続人の相続放棄を裁判所に受理してもらうことはできません。

当職の事件処理においても、第3順位相続人の相続放棄申述受理申立にあたり、被相続人の祖父母が生存の可能性のある年齢であったにも関わらず、死亡の記載のある戸籍を裁判所に提出していなかったため、裁判所より同戸籍の追加提出を促されることとなりました。

今後はあらかじめ同戸籍の提出の必要性について留意したいと思います。

 

赤堀法律事務所